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家庭看護・3つのポイント

・・・ あかちゃんの具合が悪いときあわてないための ・・・

1) 赤ちゃんは病気にかかりながら丈夫になっていく
・・・ 赤ちゃんの病気の九割はうつる病気

 お母さんはだれでも、赤ちゃんに、元気ですくすく育ってほしいと、願っていることでしょう。そして、病気をしないことが健康な証拠だと思っていませんか。でも、赤ちゃんにとって、健康だということと、病気をしないということとは違うのです。

 もし、赤ちゃんに病気をしてほしくないなら、公園などにいってほかの赤ちゃんと遊ばせたりせずに、うちの中でガラス箱にでも入れて、細菌やウィルスなどに感染しないようにして育てればよいですね。でも、そうやって育てたら、大きくなってお友達と遊ぶようになったとき、病気ばかりするようになってしまうことでしょう。  なぜかというと、赤ちゃんは病気にかかって、その免疫をひとつひとつつけていく中で、だんだんと、病気にかかりにくい丈夫なからだをつくっていくからなのです。

 赤ちゃんは、脳溢血とか心臓病、ガンといった、人間の三大死因といわれるような、命取りになる病気にはめったにかかりません。赤ちゃんのかかる病気は、九割までがうつる病気です。ほとんどがかぜだと考えてもよいでしょう。つまり、赤ちゃんの病気は、ほとんどが、赤ちゃんんが丈夫に育っていくのに役に立つものなのです。

 ですから、病気にかかることをむやみにこわがらないで、病気を経験することで赤ちゃんは健康になっていくと思って、じょうずに病気とつきあってください。

2) 赤ちゃんのようすがいつもと違うとき
・・・ 知っておきたい6つのこと

(1)まず、機嫌や顔色をみる
大切なのは、機嫌はいいか、顔色はどうかということです。

 どんなに熱が高かったとしても、どんなにいきおいよく吐いたとしても、赤ちゃんがケロッとしていて機嫌がいいなら、まず重症ということはありません。

 赤ちゃんは正直ですから、ほんとうに具合が悪ければ、機嫌も悪く、顔色が悪くなったりぐずったりしたりと、そのときの状態を全身で示すものです。機嫌がよくて、食欲がまあまああれば、まずはあわてないでいいと思って下さい。

 もし、ほかにめだった症状がないのに、なんだか機嫌が悪いときは、熱が出る前でなんとなくだるいとか、下痢が始まる前でお腹が痛い、喉が痛くて食欲が無くなっていると言った、病気が始まりかけているサインかもしれません。

 赤ちゃんの機嫌が悪いとき、ちょっと注意すると、早めに病気に対応してあげられるかもしれませんね。

 そして、機嫌が悪いときは、赤ちやんをはだかにして、全身を観察することを忘れないようにしましょう。からだの調子はそれほど悪くなくても、たとえば、お尻が真っ赤にかぶれていてぐずっているとか、着せすぎていて暑くて機嫌が悪い、肌着にとげが刺さって痛がっていたなどということもあるからです。

 どんなところがいつもと違うのか点検する、機嫌はいいか、顔色はいいかといったことのほかに、

(2)熱はないか
(3)食欲はあるか
(4)よく眠れるか
(5)うんちやおしっこはどうか

といった点をみてみます。
 なんだかいつもより熱っぽい。いつもはよく食べるのにきょうは食べない。うんちの臭いがいつもと違う。おしっこの回数はいつもと同じだろうか?いつもはぐっすり眠るのになんだか眠りが浅い。そういった点を思いおこしてみましょう。
 これらの点は、赤ちゃんの状態を把握するためにチェックするものなので、もし、気になることがあったとしても、すぐにあわてる必要は、まずありません。また、育児書やほかの赤ちゃんと比較するのではなく、いつもの状態に比べてどうなのかをみるようにします。お隣のたくさん食べる赤ちゃんに比べて少ししか食べないとしても、いつも少食の赤ちゃんなら、具合が悪いためではないのですから。

(6)水分がとれているかみる
 最後に、水分がよくとれているかを考えてみます。もし、ふだんに比べて機嫌が悪かったり、気になる症状があったとしても、水分が十分とれていれば、大事に至ることはめったにありません。
 赤ちゃんの具合が悪くても、とにかく水分補給ができていればだいじょうぶと考えましょう。これは、赤ちゃんの看護をするうえでも、とても大切なことです。


3) 赤ちゃんは自分の病気を自分で治す
・・・ お母さんは手助けを

 私は、感染症を中心とした多くの赤ちゃんの病気は、医師が治すわけではないと思っています。赤ちゃんが自分の力で、病気に打ち勝っていくのです。私たちは、それを手助けしてあげるわけですね。医師は、赤ちゃんが下痢をしていたり吐いていたりしていたら、その症状が軽くなるように薬を処方します。水分が足りなくなって脱水症になりそうだったら、点滴などで水分を補給します。そのときどきに足りないものを補ってあげるわけですね。お母さんも、足りないものを補ってあげるというつもりで赤ちゃんの看護をしてあげてください。よく起こる、熱が出た、下痢をした、吐いた、ひきつけたといった赤ちゃんの症状のひとつひとつについて、基本的な看護の仕方を知っておけば安心できるでしょう。

 基本は、お母さん自身が病気になったときに、自分が一番気持ちがいいと思うことをしてあげればいいのです。

 熱があって暑がっているときには、冷たいものを飲んで、身体をさっぱりとふいて、涼しくしていれば気持ちいいですね。赤ちゃんにも、同じようにしてあげましょう。

 足りないものを補って、気持ちよくすごさせてあげれば、赤ちゃんは自分の力で病気とたたかうことができます。

 もし、お母さんの力だけでは補ってあげられそうもないと思ったときは、どうぞ医師に相談してください。お母さんがみていて、赤ちゃんがほんとうに具合悪そうに思えたなら、緊急を要すると思えたなら、救急車を呼んだって、夜中に病院へかけつけたっていいのです。

 何人もの赤ちゃんを育てたことのあるお母さんなら、もうちょっと、おうちでようすをみていようと思う状態だとしても、初めての赤ちゃんを育てているお母さんにとっては、どうしてあげていいかわからないことも多いのですから。

 赤ちゃんといっしょに、少しずつ経験を積んでいけば、だんだん、「うちの赤ちゃんは、この程度ならだいじょうぶ」といったことが、わかってきます。



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